離婚協議における財産分与

離婚に向けて話し合いの中で、意外ともめやすいのが「財産分与」です。
 預貯金、不動産、保険、年金などどこまでが分与の対象になるのか、どう分けるのが公平なのか判断が難しい場合も多くあります。財産分与の基本的な仕組みと、スムーズに話を進めていくため行政書士の視点から見てみたいと思います。

まず、財産分与とは?

財産分与とは、二人が結婚生活の中で夫婦とともに築いた共有財産を、離婚時に公平に分けることを言います。

原則として、2分の1づつに分けるのが一般的ですが、しかし家や不動産などを2つに割って離婚時に、公平に分けるということは、手続きが困難であることから、事情に応じて柔軟な対応で、分割することも可能です。

対象となる主な財産としては

  1. 預貯金
  2. 不動産(土地・建物)
  3. 自動車
  4. 有価証券・株式
  5. 保険の解約返戻金
  6. 年金(厚生年金・共済年金)

◎対象外となる「特有財産」

 すべての財産が分与対象になるわけではありません。
 結婚前にすでに持っていた財産や、相続・贈与で得た財産は「特有財産」として分与の対象外となることが原則です。
 
 ただし、特有財産が夫婦共有の口座に移されたり、生活に使われていた場合は、結構争いになることも多いのです。だいたいそうだと思います。まさか離婚するとは思って生活しているわけではないので、揉めるという心理にもある程度理解はできますが、その辺は、冷静に話をして欲しいものです。

◎もめないための財産整理の手順

  1. 夫婦での財産一覧の作成する(通帳や権利書を確認)
  2. 特有財産か共有財産かを分類して話をする
  3. 土地建物の時価評価やローン残債の確認する
  4. 分与方法を協議し、合意内容を文書にする

 二人の話を合った内容を第三者(専門家)を交えて整理していった方がいいでしょうね。

 

◎公正証書や離婚協議書の作成

 口頭の合意だけでは後々のトラブルになりかねませんので、 離婚協議書に財産分与の内容をしっかり記載し、お互いの署名押印して書面をお互いもっておく。

さらに、作成した離婚協議書を公正証書にしておくことで、支払いの強制執行も可能になります。

財産分与と慰謝料・養育費の違いに注意

 以下は目的が異なるため、混同しないように注意が必要です。
 財産分与:夫婦で築いた財産の清算
 慰謝料:精神的損害に対する賠償
 養育費:子どもの生活費の支援

最後に

 財産分与は、お金の話であるだけに、感情的になりやすく、もめやすいポイントです。正確な財産の把握、公平な分け方、書面による記録が重要です。 冷静に話し合える環境を整え、必要に応じて行政書士などの専門家に依頼することで、トラブルのない円満な離婚を目指す。

 つまり、妥協すべき点は妥協に応じ、その分を他のもので補ってもらう。そういう考えで話を進めていけば、意外と時間もかからずにスムーズに離婚協議が進んでいくようです。

私の経験則からいうと、相談当初は、もうドロドロ状態で、とても円満に離婚ができるような感じではなく、調停や裁判に発展しそうな案件が多いですが、妥協と補填の話をすると、意外とスムーズに話し合いが進んで、翌月には協議離婚ということで完結した案件がほとんどです。

行政書士等に相談をせずに自分で話を進めていくと、もらえるはずの財産ももらえず、書面も作らず、結果ただ離婚成立という方は意外と多いんですよ。

ぜひぜひ、御相談してください。きっとプラスにはなると思います。