父の財産は1億円超しかし…空き家の実家と赤字の駐車場を持て余した相続人が「相続税0円」が実現
親が高齢となり、認知症や施設入所をきっかけに「実家」や「財産」の管理をどうするべきか、悩む人が増えています。60代のAさんも、同様の不安を抱えて相談に訪れた1人でした。空き家になった実家、活用しきれない貸し駐車場、そして相続税の心配。どうすれば財産を守りつつ、家族にとって最良の選択ができるのか。
依頼者:Aさん(女性・60代)・職業 公務員
家族関係:父、Aさん、長男の三人
財産:自宅、駐車場、預金、株1億1,500万円
Aさんの母親は15年ほど前に他界、その後、父親は自宅で1人暮らしをしてきましたが、80代で骨折してから歩くのが不自由になり、1人暮らしに不安が出てきましたので、数年前から老人ホームに入所しています。
Aさんも弟も実家を離れて住居を構えていますので、同居する選択肢は考えづらく、定期的に様子を見に行ってはいますが、ともに仕事を持っているため、頻繁にというわけにはいかず、不安を抱えていました。そのうち、父親が家の中で転倒して骨折してしまい、入院し、退院後は自宅に帰らず、介護施設に入所しました。
その後もリハビリを続けていますが、自宅に戻れる可能性は低く、ずっと空き家になっていることもAさんの心配事でした。今後どうすればよいか、弟と2人で相談するも結果が出ずに相談に来られた。
生前対策の提案と節税効果
課題
・自宅が空き家で子供が同居する状況ではなく、小規模宅地等の特例は使えない。
・貸し駐車場は満車にはならず、固定資産税が払える程度で効率はよくない。
自宅は築年数が経っていますが、あまり経費をかけずに節税対策ができることを提案しました。父親が自宅に帰って住む状況は難しそうで、さらに遥香さんも弟もすでに自宅を持っていることから、居住用の小規模宅地等の特例を使える状況はありません。
そこで、父親のお金で室内をリフォームすることで現金の消費は節税になり、賃貸することで賃貸事業用の小規模宅地等の特例を使えるようにします。
間取りは4LDKあり、ゆったりしています。キッチン、トイレ、お風呂の水回りの設備を新しくし、クロスを張り替えてリフォーム代は200万円程かかりましたが、室内は見違えるほどきれいになりました。庭もあり、車も2台は止められるので、家賃17万円の貸家となり、入居者も見つかりました。
貸し駐車場を売却して、収益マンションに買い替える
父親が購入した土地は、将来、子供のいずれかが住むことを希望していましたが、立地的にことがかなわず、貸し駐車場として維持してきました。ジャリ敷きで10台が止められる区画ですが、現在は、4台しか契約がない状態。毎月4万円の駐車料金で年間48万円の収入ですが、固定資産税は年額69万円で、すでに持ち出し状態です。これが不安材料となっています。しかも、空き地のままでは自用地評価で固定資産税も相続税も減額はできないため、節税効果は見込めません。
この土地に賃貸アパートを建てる計画も立案できますが、建築費の借入れが必要となり、子供2人で運営するには課題があるため、売却を提案、ここは、閑静な住宅街にあり、最寄り駅まで徒歩8分と好立地ですので、売却が見込まれます。
有価証券が1,000万円ほどありますが、特に運用もしていないため、解約し、生命保険の非課税枠分、1人500万円の終身保険を2口契約するようにしました。受取人はそれぞれとして500万円ずつとなります。これで1,000万円は生命保険の非課税枠を使えて節税になります。